結果発表

「国産材を有効に活用する新しい“名古屋”の住まい」をテーマにした
住宅設計アイデアコンペにおいて、
デザイン部門の応募総数は98件(エントリー数344件)となりました。
下記のとおり入選者が決まりましたので、発表いたします。
全国各地から、数多くの作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。

なお、論文部門の応募件数が0件であったため、
より多くの応募者を称えるべく、デザイン部門に新たに3点の賞を追加いたしました。
賞金の詳細は改定した「募集要項」をご覧ください。

入選作品

最優秀賞
1点

地乾地消 木を継ぎ街を紡ぐ松本 樹(愛知工業大学)

講評
木を乾燥させ、建設するというフローをライフスタイルにシンクロさせている点が、国産材のテーマとマッチしている。10年後の名古屋に堀川の再生が期待されるとするならば、このような住まいのあり方が実現できると、名古屋の景観は非常に優れたものになるのではないか。名古屋らしさと、国産材というテーマに沿った解答をしている上に、他作品よりもオリジナリティを感じさせていた点を高く評価する。

審査員特別賞
2点

‹太幡賞› 浮かぶ雲屋根の住まい
木内 健斗(東京工業大学)

講評
小断面の間伐材や虫食い材等による木組み、かつ地面を掘った際の残土を利用したパネルを小屋組に散在させることで、空間を拡散光で満たすアイデアと美しさが秀逸。タイトルも美しく、空間を捉える感性が素晴らしい。

‹謡口賞› もぬけ板の家
西丸 健(芝浦工業大学)
小泉 亮輔(芝浦工業大学)

講評
高床式の建築に掘り込み要素を加えたデザインに既視感があるがコンペの趣旨をよく理解しており、国産材の使用方法、プランニングの双方に面白みが感じられるバランスの良い作品。タイトル通り一枚の大きな板をくり抜き小さな地形を形作るという発想が良い。

ウッドフレンズ社員賞
1点

株式会社ウッドフレンズの設計部門社員により、
入選作品から審査の上選定いたしました。

Re:Wood
田口 周弥(日本大学)
梅津 和樹(芝浦工業大学)

講評
趣旨に対し真摯に解答しようとする姿勢に好感が持てる。作品の密度も高く、質の高いプレゼンテーションが行われている。木造建築の可変性の高さに着目し、実際に建築することを想定したリアリティのあるプランニングが良い。
ウッドフレンズ社員 講評
スクラップ&ビルドが繰り返される今、「循環して用いる、経年変化を楽しむ」というプロセスを重視した点が高い評価となった。木で建設することで、構造躯体から住み方を変化させることができ、コンペの趣旨をよく理解した上での回答である。

ユーザー賞
1点

ウッドフレンズの住宅購入者さまにアンケートにて、
入選作品から“住んでみたい”と思う家に投票いただき、集計いたしました。

農家 ~Agritecture~
大沼 音也(北海道大学)
池田 昇太郎(北海道大学)

講評
植物の種類に合わせて、適正な空間に配置するなど、生物多様性ある建築の可能性が感じられる。高さを自由に変えられるはさみ梁を採用したことで、ライフスタイルに応じた断面的な空間の変化が想像できて楽しい。梁が移動した痕跡が柱に残るのも一興である。
ユーザー 講評
・野菜の栽培を通じて、子供の食育を行えるのが魅力的でした。
・狭い土地でも家庭菜園が実現できそう。
・自然と人とが共存しあえる空間が気に入った。
・水害の多い土地柄を緑地の確保に活かせている。
・土の再生方法、受粉方法などの問題はありそうだが、夢・癒しがある家だと感じた。

入選
6点

  • 発展への課題 -土木工作物の再生- 紫村 耀(京都工芸繊維大学)

    講評
    既存のRCと新築の木を組み合わせるという発想が良い。老朽化した建築物に、新築の建築物をはめ込む手法が面白く、その視点と設定を評価する。対象を老朽化した校舎等ではなく、高架とした理由付けを綿密に行うと尚良かった。
  • 問屋がつなぐイエとマチ-間伐材による外皮の提案-
    鏡 亮太(名古屋市立大学)

    講評
    ブランドショップのようなファザードの使い方が美しいが、よりオリジナリティの高いデザインを期待した。ファザードに、濃淡をつける、段差を付けるなど、編み込み方に独創性があると尚良かった。
  • 町屋の継承
    後藤 諒介(愛知産業大学)

    講評
    既存町家の外部を内部化する大胆な計画と、既存の屋根の上にでることができる風景がおもしろい。一歩間違えると廃墟と化す可能性があるが、本作は、ぎりぎりのところでバランスをとっている。
  • ケッタとすまうイエ
    堀 涼太(名古屋工業大学大学院) 水口 敬悠(名古屋工業大学大学院)

    講評
    未来のモビリティの変化と住宅の変化に関するテーマは現代的だが、あえて「ケッタ」という古臭さを用いる感性が面白い。自転車というヒューマンスケールに近い乗り物を、平面計画の中に組み込む提案に、逆に新しさがある。
  • 現場の家
    村越 勇人(名古屋工業大学大学院)

    講評
    歴史的な観点と、木を用いる理由が上手く関連付けられている。10年~20年と、時間をかけて建設を行うロングスパンなプロセスが良い。建設現場をまちに開き、川辺を対象の敷地として使っているのも面白い。
  • 物移ろう長屋
    杉山 弓香(名古屋工業大学) 伊藤 誉(名古屋工業大学)

    講評
    ものづくり産業が盛んな名古屋を逆手にとって、ものが空間に溢れないよう適切な収納方法までを提示した意欲作。空間の機能にあわせて棚で使用する樹種を変え、「匂い」という不可視なものによって曖昧に場所をつくる提案が面白い。

最終選考作品

惜しくも入選とはなりませんでしたが、最終選考に残られた皆さまも優秀な作品でした。
作品名とお名前を掲載させていただきます。

  • 玄関の家 田中 翔太(京都工芸繊維大学)
  • 内と外の密な暮らし 戸谷 伸司(名古屋市立大学)
  • 器の大きな家 釜谷 潤(千葉大学大学院)・藤本 将弥(東京工業大学大学院)
  • URBAN APARTMENT 廣瀬 蒼(東京都市大学)

審査員総評

伊藤 孝紀

名古屋工業大学大学院 社会工学専攻 建築・デザイン工学科 准教授
有限会社タイプ・エービー 主宰

昨年度に比べて全体としてレベルが高くなった印象を受けた。2027年にリニア中央新幹線が開通するにあたり、経済・産業的にも、働き方や住まい方へも変化があると予測され、名古屋圏の期待値は高まっている。その期待値に、建築を学ぶ学生が、どれくらい真摯に向き合えるか! 楽しみなテーマであった。その上で、名古屋の地域性、文化性を反映させるべく住まい方(ライフスタイル)を深めた多様な案が出されたことは、審査をする上で楽しい過程であった。
その中でも入選作品は、建築(空間)的に具体的な解決策となっているものを選んだ。特に、建築の生成(施工)過程やシステム、さらには選定した敷地から街へと派生する仕掛けづくり、木材を活かした表現方法まで追求した案を評価した。
昨年度は、院生が主体となった受賞であり、ある意味順当な評価となったが、今年度は審査後、蓋を開けると、学部1〜2年生の健闘が多かったことも特筆したい。早い学年次からコンペなどを通じて、社会や地域の問題と向き合う良い機会となることを期待する。

太幡 英亮

名古屋大学
工学研究科准教授

伐採・貯木・建設といったプロセスや、建設後の増改築のプロセスを含め、上位作品には時間軸を捉えた提案が多く、かつ「営み」としての建築(建築行為)の価値を捉えたものが何点かあった。地域における木造建築の価値を考えるとき、この点は極めて重要であり、順当に評価された。一方、木造でつくり出した空間の魅力という観点では、「浮かぶ雲屋根の住まい」が一歩抜きん出ていたと思う。
結果的に学部生の入選が目立った点は今年の大きな特徴で、今後の更なる活躍が期待される。

謡口 志保

ウタグチシホ建築アトリエ 主宰

全体を俯瞰して提案内容、プレゼンテーション共に密度の高い作品が多く見受けられ、最優秀賞を選考するにあたり議論が白熱した。テーマに対して、名古屋の特色ある場所を再解釈しつつも、架構の提案によって新しい空間・風景を生み出す作品が上位に集まった。
特に「地乾地消」は建築中のプロセスで時の移ろいと仮設性の面白さを、「浮かぶ雲屋根の住まい」は華奢な角材を“編む”ことによって木造ならではの線的で美しい空間を体現している。その他の入賞作品についても、様々な切り口で2027年という近い未来の暮らしを予感させる提案が目立った。